Asset Retirement Obligation

昨日学習した論点は資産除去債務。

おそらく1級の論点だと思う。(2級で勉強したが、記憶にないだけかもしれないが)

 

建物や機械などの有形固定資産を除去する時に、法律にのっとって適切に除去しなければならないものを会計処理するための方法だそうだ。

 

有害物質を扱う建物を立てたときに、この建物を処理した際に処理することが法律で決まっている場合は、立てたときに費用がほぼ確定する。この処理を適切にしようというのが目的。

 

具体的な仕訳は

で分けて考える。

減価償却

毎年の減価償却費は、通常の方法で償却していけばよい。

ただし注意したいのは、減価償却費の対象は、取得費用+処分費用(=資産除去債務)。

ここで問題になるのが、今回の論点である処分費用である。

処分費用(資産除去債務)
A社は、18年4月に機械を1200円(使用期間3年)を現金で購入した。当社は機械を使用後に除去する法的義務があり、除去時の見積支出額は、150円だった。なお、割引率は5%とする。

当該機械を残存価額ゼロ、耐用年数3年の定額法で減価償却する。

 という問題の場合、毎年の減価償却費は簡単に計算できて、

 1200 ÷ 3 = 400 円/ 年  

問題なのが、除去時の見積支出額(150円)である。機械を購入した時点で、除去時の支払い(150円)が確定されたも同然なので、この分も機械の取得原価に含めるという考えは妥当だとしても、このまま150円を計上してもよいか、ということが問題。

ここが資産除去債務のポイントで、これを現在価値に割り引くことをしないとけない。

なぜならば、この除去費用の150円は、機械の使用期間後(今回の例だと3年)に支出するため、今は不要だからだ。

ということで、費用を現在価値に割り引けば良い。

この場合では、3年後の150円は現在価値に戻すと

 \frac{150}{(1+0.05)^3} = 130  

 となり、130円と算出できる。

 

さて次の問題は、この130円をどの勘定項目にするか、ということだが、これはズバリ資産除去債務である。

いままで勉強してくると、この処理に引当金勘定を使いたくならないだろうか?

実は、この資産除去債務 vs 引当金で議論があったそうだ。

ここらへんの詳しい経過は下記を参考:

nitijyoutekiblog.work

 ということで、購入時の仕訳は

借方 金額 貸方 金額
機械 1,330  現金預金 1,200
      資産除去債務 130

 

今期の決算時の仕訳は、

借方 金額 貸方 金額
減価償却 400 減価償却累計額 400
 利息費用 6.5    資産除去債務 6.5

※ 購入時の資産除去債務 130円 x 0.05 = 6.5 円(=7円)

 

ちなみに、2年目の仕訳は、

借方 金額 貸方 金額
減価償却 400 減価償却累計額 400
 利息費用 6.83    資産除去債務 6. 83

※ 購入時の資産除去債務 (130 + 6.5) x 0.05 = 6.83 円(=7円)

 

最後の3年目(除去時)の仕訳は、 

借方 金額 貸方 金額
減価償却 400 減価償却累計額 400
 利息費用  7.17   資産除去債務 7.17

※ 購入時の資産除去債務 (130 + 6.5 + 6.825) x 0.05 = 7.17 円(=7円)

 

よって、これまでの資産除去債務は

購入時:130円(現在価値割引後)

 1年目:6円

 2年目:7円

 3年目:7円

 合計:150円=当初想定していた除去費用と同じ!

この除去費用を現金で払ったとしたら、

借方 金額 貸方 金額
資産除去債務 150 現金 150

 

ちなみに、当初想定していた費用よりも高くなった場合、例えば200円になった場合は、その差の50円を履行差額として計上して、

借方 金額 貸方 金額
資産除去債務 150 現金 200
履行差額  50    

 とする。

 

当然だけれど、減価償却費も 400円 x 3年=1200円で同じなので、

借方 金額 貸方 金額
減価償却累計額 1200

   機械   

1200

 

 

結局、3年目は機械の除去も含めて、

借方 金額 貸方 金額
減価償却 400 減価償却累計額 400
 利息費用  7.17 資産除去債務 7.17
 減価償却累計額 1200 機械 1200
 資産除去債務  150  現金 150

 となる。